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中学生の頃、将来は家の中に映画館のようなものをつくりたいと漠然と考えていました。当時は「ホームシアター」という言葉もなく、特に映画が好きだったわけでもないのだけれど、なぜか「自宅に映画館」という想いをずっと持ち続けていました。
最初に「ホームシアター」と呼べるものに接したのは大人になってからの1980年代後半。当時、シャープからドルビー・プロロジックデコーダーを搭載したテレビが発売されました。ドルビーサラウンド機能を搭載した製品はいくつか出回っていましたが、プロロジック対応のものはそれまでなく、このテレビではセリフがセンタースピーカーからでたり、音源の移動感が明確になる特徴がありました。
左右のスピーカーは本体から分離できたのでフロントスピーカーの間隔は十分にとれ、これにリアスピーカーとサブウーハーを追加してレンタルビデオを楽しむというスタイルを10年余り続けていましたが、  DVDプレーヤーの本格的な普及とともにDVDレンタルも開始されたのを機にDVDを中心としたシアターを構築することにしました。
せっかく、ホームシアターを構築するのだから、映画館では味わえないような、なにか特徴を持ったものにしたい。
私の映画館に対する印象は、音が悪く、サラウンド感どころか、ステレオ感も乏しく音の移動感が感じられない。前方の他人の頭が目に入ってわずらわしい。空気が悪く、長時間いると頭が痛くなってくる。お気楽に飲み食いしながら鑑賞できない。そして、何より当たり前の話ですが、「映画」しか観ることができない。
いつでも好きなときに快適な環境の中で大音量で映画以外のコンテンツ、たとえば、オリンピックやワールドカップなどのスポーツ中継や歌手のコンサートビデオなんかも楽しみたい。言葉に表せないような感動にどっぷり浸ってみたい。
そんな願望をかなえるべく、取り組んだのが、「24時間シアター」なのです。

現在のシステムはアンプがYAMAHAのRX-V1067。
SONY TA-V55ES 、DENON AVC-3980、YAMAHA  DSP-AX1900につづいて4代目となります。AX1900以降、フロントプレゼンス2chを加えた9.1ch構成となっています。
フロントプレゼンスの効果は画期的で、コンサートビデオなどではステージ上の奥行きが感じられるようになるし、何より台詞やボーカルを担当するセンター成分の「リフトアップ」が行なえるのが良い。サウンドスクリーンでない大型スクリーンではどうしても床に配置したセンタースピーカーから台詞を聴くことになってしまうので、これまで違和感が否めなかったが、「リフトアップ」を行うことで、床のセンタースピーカーと左右のフロントプレゼンスを結ぶ逆三角形の中央がスクリーンに映る人の口元と重なり、より映像との一体感が増した。試しにリフトアップをoffにすると、ずいぶん台詞が下から聞こえるのがわかる。

プレーヤーはブルーレイ用にDENON DBT-1713UD。DVD用としてSONY DVP-S7700。
CD/SACDの再生用としてパイオニアのDV-S747。

プロジェクターはSONY VPL-HW30ES。 約10年間、シアターの大黒柱として活躍してきたVPL-VW10HTに変わって 3D対応となりました。

スクリーンはナビオのMR801で、サイズは130インチ。昇降は赤外線リモコンによる電動式。シアタールームには65インチのテレビがあるのですが、これは普通のテレビ放送(ニュースやドキュメンタリー)を観るのみです。試しにこのテレビでいくつかのコンテンツを視聴してみたけれど、壁など「映像」以外の周りの景色が目に入ると、映像の中に入っていけず、途端に臨場感がなくなってしまう。52インチ程度では「映画」が単なる「テレビドラマ」になってしまうし、「コンサートビデオ」では3階席からオペラグラスで観ている感じになってしまい、「感動」を覚えるには程遠い。真っ暗な中で視界に映像以外の情報が無い状態を実現するためには、スクリーンから視聴位置の距離と、人間の視野角から逆算すると、これくらいのサイズがどうしても必要だ。また、画面が小さいと、圧倒的な音の迫力に映像が負けてしまう。
130インチともなると全長は3メートル以上あるのですが、これをどうやって窓のないシアタールームに搬入するか、これが当シアターを構築するにあたって最大の難問となるとは考えもしませんでした。あと2センチ長かったら返品するとこでした。


フロントスピーカーはリボン型ツィーターで超高音域まで再生可能なパイオニア、S-A77TB。
家に運ばれたこのスピーカーを2階のシアタールームに上げることになるわけですが、何しろ、めちゃくちゃ重いし、巨大な箱に入ってる。
外箱には梱包財を含めた総重量が41kgとの表示がある。それが2台!!
事前に本体重量が37kgってのはわかってはいたが、外箱の大きさまで考えに入っていませんでいた。中身だけ運ぶのは途中で落としたりしたら元も子もないので外箱ごと運ぶことにしたのですが、どうやって我が家の曲がりくねった階段をクリアするのか? 到底一人で持ち運べそうもないので、嫁さんと悪戦苦闘することになりました。やっとの思いでシアタールームへ運びこんだあと、箱から出してセッティングするのも、重いし、取っ手があるわけではなし、おまけにリボンツイーターには息を吹きかけないようにとの注意書きはあるわ(リボンツイーターって、そんなに繊細なんですね) で、もう、ふぅふぅでした。いやー体力のある嫁でよかったです。
スピーカーの場合、重ければ重いほどいいというのはわかってはいるけれど、いい音のためとはいえさすがに大変でした。
肝心の音のほうですが、温かく広がり感のある音で女性ボーカルには最適なように思います。

サラウンド用にはYAMAHA NS-2を6本使用。NS-2は、もともと5.1chで2本だったのが、7.1chでサラウンドバック用としてプラス2本、9.1ch化によるフロントプレゼンス用としてさらに2本追加と相成りました。NS-2は本来壁掛け用ではないため、取り付け用のねじ穴もないのですが、自分でねじ穴をつくり、BOSE用の壁掛けブラケットを使用して壁に取り付けています。壁に取り付けるには重量があるスピーカーですが、よくある薄っぺらいサラウンド用スピーカーでは、納得のいく音が得られそうにないため、妥協したくなかったのです。

「24時間シアター」を構築するにあたって最も懸念したのが、防音性でした。夜中に盛大に音量を上げても他の居室に音漏れがないように配慮しなければいけません。ドアは普通のドアはまったく役に立たないので、防音ドア仕様に。防音ドアって冷蔵庫みたいに磁石でぴったりと閉まるようになっているんですね。
シアターの直下は風呂やトイレなどの水周りなので階下への音漏れが日常生活に支障をきたすことはまずないのですが、一応、階下への遮音性も考え高遮音床を採用。
隣との居室との間は2重の遮音壁を採用し、間に鉛のシートを挟んでいます。
窓も防音性や光漏れの弊害を考え、なくすことにしました。ドアを閉めると正に「漆黒」の暗黒と静寂が広がります。

完全な防音と遮光のため窓もなくしてしまっているので、防音ドアを閉めるとまさに密室です。酸欠、蒸し風呂状態になっては、シアターどころではありません。空調をどうするのか、悩みどころです。で考えた末に導入したのが、「空気工房」という全館空調システムです。これにより、24時間常に新鮮な空気が家中におくられ、汚れた空気は排出されていきます。その上、各部屋はもちろん廊下や階段、玄関にいたるまで家の隅々まで24時間、365日、人がいるいないにかかわらず、寝ているときも、留守にしているときも家中冷暖房が利いているので、実に快適。真冬でも掛け布団も必要ありませんし、観葉植物の冬越しに気を使うこともない。熱帯夜で寝苦しい夜を迎えることもありません。除湿した空気しか家の中に取り入れないので、結露も起こりません。
これで、24時間いつでもシアターが楽しめます。

玄関脇に設置された空室ユニットで埃、花粉、臭いを除去し、湿度の高い場合は除湿してから各部屋や廊下にある空気噴出し口へ空気を送り込みます。汚れた空気は、排出口から外へ排出されます。
各部屋ごとの温度設定は部屋にあるリモコンの他、リビングの集中コントローラーによっても遠隔操作できます。
除湿した空気しか屋内に取り入れないので夏場でも湿度は50パーセント以下に収まっています。このため温度設定は28℃でも充分快適。冷房病の心配もいりません。

調光装置にはルートロンの「spacer」を使用しました。ルートロンには有名な調光装置「グラフィックアイ」がありますが、さすがに高価。もっと単純でいいから手軽に調光できるものはないかと考えていたところに見つけたのが「spacer」でした。
リモコンによる調光が可能で、2秒、あるいは10秒かけての消灯ができます。
リモコンのマクロコントロールでは、スクリーンが下限まで降りきる10秒前に消灯の信号を出すようにプログラムしておくことで、照明がだんだんと暗くなり、スクリーンが下降しきったところで完全暗黒になるように設定しています。

シアターの構成が複雑になっていくにつれて増えてくるのが配線だ。HDMIは音声と映像が1本のケーブルで済むので、以前に比べればかなり減ってはいるのですが・・・。中でもAVアンプはその性質上ほとんどのケーブルがここに繋がっている。信号にあわせてケーブルの種類も多種多様。加えて、接続にあわせた、AVアンプ側の設定もしてやらなければならないので、ちゃんと理解していないと、映像は映るけど音声が出ないとか、テレビはOKだけどプロジェクターでは映らないとか・・・、トラブル続出である。

加えて近年では、AV機器もネットワークにつながりはじめている。すでに、我が家でもテレビがLAN経由でNASに録画をしているし、AVアンプとBDプレーヤー、HDDレコーダーもLANにつながっている。これらの設定もしてやらなければならない。将来、歳とったらこんなこと自分でできるだろうか。

増えるといったら、AV用品に付き物のリモコンも増える一方。ふと気がつくとシアタールームにはリモコンが山積になっていました。
しかも、どのリモコンにもボタンがいっぱいあります。中には表面だけでなく開閉式のドアを開けるとその中にもボタンがぎっしり付いているものもあります。
これでは使いにくくて仕方ありません。
一応、AVアンプ用のリモコンは、複数の機器を制御できるような仕様になっているが、使い勝手がいいとは言えない。
そこで、この問題を解決すべく、永らく学習リモコンのRM-A2500を利用していましたが、このたび、iRemoconを導入しました。

RM-A2500でも液晶画面上に任意のボタンを作成することができるし、マクロ機能により、

  1. 電動スクリーン降下

  2. 天井灯 消灯

  3. プロジェクター 電源ON

  4. AVアンプ電源ON

  5. ダウンライト調光(ゆっくり消灯)スタート

  6. プレーヤー電源ON

  7. プレーヤー再生開始

  8. 間接照明 消灯

一連の動作を自動的に実行させることはできるのだけど、iRemoconでは自分の好きな画像をボタン化できるし、デザインの自由度が格段に高い。何よりタブレットやスマートフォンのWiFi経由で操作できる点がありがたい。これによりリモコンの照射方向を考える必要がなくなった。当シアターでは、使用しなくなったXperiaZ3で運用している。

RM-A2500

iRemocon 本体

iRemoconでは写真なども含めて、リモコンのデザインを自由に設計できます。

ダウンライトが「ふっ」と消えるその瞬間から別世界が眼前に広がります。

iRemoconで自動化の様子

サブウーハーってどこに設置するのがベストなんだろう。超低音域は指向性がないのでどこに置いてもかまわないと、よく言われる。
一方で、アンプの説明書にはフロントスピーカーの外側に置くようにとも記されている。
当初は左図のようにセンタースピーカーとフロント右スピーカーの間に設置していたのだけど、どうも芯のある低音が出ない。位置を前後に動かしてみても、角度をつけてみても、位相を切り替えてみてもボソボソの低音にしかならない。加えてサブウーハーの筐体が眼に入るので、気のせいか低音が右に偏っているような錯覚にも陥る。
で、悩んだ挙句、思い切って視聴位置の右隣に設置してみた。
これが思いのほか「当たり」であった。低音の芯が格段に増したのである。視聴位置のすぐ右隣なのだが、まったく右から音が出ているような感じはせず。むしろ以前より音が前方から聞こえるようになったから不思議である。奥の深い世界だ。

PL プレゼンス左

PR プレゼンス右
FL フロント 左
FR フロント 右
C  センター
SW サブウーハー
SL サラウンド左
SR サラウンド右
SBL サラウンドバック左
SBR サラウンドバック右

 

ホームシアターを構築してから、コンサートライブDVDを視聴するのが趣味になってしまった。
もともと映画鑑賞を主な目的にしていたホームシアターだったのですが、たまたま観た一青窈のコンサートDVDの出来があまりにすばらしかったので、すっかり「音楽もの」に、はまってしまいました。
「LIVE TOUR 2004 ~てとしゃん~」はコンサート自体の構成はもちろん、画質,音質、編集、どれをとっても言うことなしで、気がつけば実際に客席で音楽を楽しんでいるような感覚にどっぷり浸っていたのです。
最近では、映画を観るより音楽ソフトの視聴のほうがはるかに回数が多くなっています。
というわけで・・・

お気に入りベストディスク

一青窈 LIVE TOUR 2004 てとしゃん

「聴かせる歌」に魅了されます。5.1ch収録で画質、音質とも良好。130インチでもシャギーなど感じられない。DVDでもここまでの画質が出せるのだといういい見本。
コンサートの雰囲気が良く伝わってくる、すばらしい出来の1枚。
これを超える音楽DVDにいまだ出会っていない。
後にブルーレイ版も発売された

Celine Dion Live in LasVegas A New Day

国内版より安かったので米国アマゾンにて米国版を購入。
オープニング早々、そのスケール感に圧倒された。
ものすごい数のダンサーによるパフォーマンスがあるかと思えば、グランドピアノや、果てはウェディングドレス姿の新婦が宙を舞う。
コンサートというよりショーなのだ。で、肝心の歌はどうかというと、これまた、周りの演出がド派手なのにもかかわらず、セリーヌの歌声はそれを上回るパワーではじけ飛ばすほどの迫力があり、全く存在感を失わない。すべてにおいて、アメリカという国の大きさ、底力をスクリーンから感じずにはいられない。

 

宇多田ヒカル WILD LIFE

ブルーレイでみた最初の音楽ソフトだけど、いきなり、すごいのに出会ってしまった。 
画質、音質、
色彩の豊かさ、どれをとっても言うことなし。立体感、臨場感が抜群にいいのは円形ステージのせいか。まさにS席の感動がある。
現在のところ音楽ソフトの最高峰だと思う。

 

Please reload

​このほかにも、いきものがかり、松山千春、コブクロ、アンジェラ・アキ、水森かおり、中島みゆきなど、相当数のディスクを視聴してきた。音楽ものは映画と違い、何度も繰り返し観たくなるので、コスパは高いと思う。

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